部屋が汚い

好きな食べ物がカレーとハンバーグなので、多分僕は小学生です。小学生の頃から部屋の片付けは苦手でした。

僕のオナニーが賑やかになった

 BGM(バックグラウンドミュージック)=駅,銀行,喫茶店など人の集まるところを快くするため絶えず小音量で再生される音楽。単調な作業における能率向上の効果もあるため,工場などでも採用されている。映画,テレビなどの効果音楽もいう。

*出典…株式会社平凡社

 

 

 

 

 

 

 

 大学進学と同時に一人暮らしを始めて、もうそろそろで3年が経とうとしている。駅から徒歩約30分、築約30年木造のボロアパート。こんな不便な物件に住む物好きは少なく、隣に人が越してくることはなかった。二階建てで各階に2部屋ずつしかないため、僕は隣に人がいないことを良いことにのびのびと、自由に生活をしていたが、昨年の11月ごろに、隣に一人の女性が越してきた。その女性はほとんど部屋におらず、一度もちゃんと会ったことがないのでどんな人かも知らないが、今のところは大きな問題にはなっていない。

 

 しかし、僕は一つのことを心配している。築30年木造アパート、当然壁が薄いのだ。どれぐらい壁が薄いのかというと、隣の部屋からちょっとの咳払いでも聞こえるくらいだ。隣なのに、壁を挟んでいるのに。また、壁が薄すぎるため、隣の住人が何をしているのかもなんとなく分かってしまう。

「あ、今テーブルの角に小指ぶつけたな」

「あ、今彼氏とセックスしてるな」

こういったことが嫌でも手に取るように分かってしまう。

 

 この壁の薄さでは、もう別々の部屋、別々の世帯とは言えないのではないか?ワンルームではなくツールーム。風呂とトイレは別々で、それぞれ二つ用意されている奇妙な不動産物件。「2K2T2B2玄関」。あまりにも奇妙だ。希少価値が付いてここに住んでいる人としてクラウドファンディングでも始められるのではないか。

 

 

 「壁が薄い」ことによる問題は、何も隣の部屋だけに留まらない。昨年の10月ごろから、両隣のアパートと一軒家がそれぞれ同時期に解体、建築を始めたのだ。大工の叫び声、金槌の爆音、重機のうなり声。それら全ての音を僕の住んでいるアパートは遮断しない。部屋には外と同じレベルで爆音が響き、僕の鼓膜は破裂、大地はひび割れ、海は干上がり、緑は色を失い、地球は寿命を迎える。まさに世界の終わり。The endだ。End of the world from the end of the world which end of the world(we are the world)

 

 こんな世界の終わりに直面しているアパートの一室は、部屋と呼ぶことができないのではないか?これはもう「外」といっても遜色が無い。壁と部屋のある外。そして奇妙なことに二つのキッチン、トイレ、風呂が設けられた歪な住宅。このアパートが不動産会社で記載されるときは、恐らく「2K2T2B2玄関(外)」という奇妙な紹介をされるに違いない。

 

 今までは壁の薄さに困ることは無かったが、隣に人が住み、アパートの両隣で建設が始まったことで、僕の生活は大変賑やかなものに変化した。その賑やかさのなかでも、ほとんどの場合僕の生活には問題を及ぼさなかったが、今朝、ついに大きな問題をもたらした。

 

 今朝僕は、いつもどおり阿部乃みくで抜こうかと思ったが、やっぱたまには麻里梨夏の騎乗位中だしもので抜こうかと決め、ベッドに身体を横たえ、いそいそとズボンとパンツを脱ぎ、「痴女ログ」で麻里梨夏の動画を探し、しこしこと自分の息子を労わっていた。

 

 女優の騎乗位に右手の動きをシンクロさせ、まるで画面の中の男優に憑依するかのように自分を全神経をAVに集中させる。その様子はまるで、インターフェースを通してエヴァにシンクロするときのようだったろう。

 

 この「AV」と「僕」だけの関係性に、様々な存在が間に入ってきたのだ。まず一つ目の存在は「外」だ。麻里梨夏が動画で腰を上げ、腰を落とす、僕の右手がそれにあわせて上下する、そして外で鳴る金槌の音が麻里梨夏の騎乗位の「パンパンッ」という音に合わせて「カンカンッ」と軽快な音を立てる。麻里梨夏が動画内で一際大きな喘ぎ声を上げる、外で大工の叫び声が上がり、重機の唸り声が轟く。

 

僕「シコシコッ」

 

金槌「カンカンッ」

 

麻里梨夏「アンアンッ」

 

大工「しっかりしろよお前!」

 

重機「グゥオーン!」

 

男優「あっ、だめだめ、そのままだとイっちゃうよー!」

 

重機「グゥオーン!!ボンボン!!ドンドン!!」

 

 これでは、AVにシンクロしているのか、それとも外にシンクロしているのかが全く分からない状況だ。最早これでは、外の大工の声、金槌の音、そして重機の唸り声をオカズにしているのも同然だ。

 

 僕は外の音をオカズにしながら麻里梨夏をオカズにしながらなんとかオナニーを済ました。一応麻里梨夏に中だししたかのような気分で射精をし、若干の疲労と余韻に浸っていると、突然隣から壮大な音楽が流れ出した。その壮大な音楽はまるで映画のエンドロールのようなものだった。そしてその音楽に乗せて、僕の脳裏には今日のオナニーのエンドロールが流れ始めた。

 

監督、脚本 塚田竜ノ介

音楽、隣の住人・大工

主演、チンポ

 

今後も、このキャスト、BGMでお送りします。